NSR250の足回り移植

注意!

このページの内容は、レースユースを前提とした改造を扱っています。 よって、このページの改造法を真似しても、まともに走れるバイクになる保証はありません。 このページ内容と同じ改造をしたことを原因として、事故等が発生しても、 しょう太は一切の責任を負うことができませんのでご了承ください。
また、あらかじめ断っておきますが、以下の点を考慮していないため、 公道走行用の車の改造としては、更なる対策が必要です。

  1. スピードメーターケーブルの取り付け、取りまわし。
  2. ハンドル切れ角の確保
  3. ハンドルロック
  4. ハンドルフルロック時の、各部とのクリアランス。
  5. Frフォーク取りつけ高さ変更による、全高の変化。

改造は各人の責任において道路運送車両法に適合させ、 かつ十分な安全を確保するようにお願いします。

能書きはいいから取りつけたの見せろ!

マシン作りのコンセプト〜まずは目的を決めなきゃね〜

NS400Rでレースをする。このとき僕は「できるだけノーマルにこだわる」ということを 第一のコンセプトに進めようとしていた。「下手な改造でバランスを崩す」のが怖いからだ。 ノーマルの車体でどこまで行けるか。行けるところまでいってみよう、というわけだ。
まぁ、しょう太のGP125クラスの持ちタイムと、全日本の同クラスのタイムとの比較を考慮すれば、 ノーマルで筑波1分8秒台に突っ込めれば上等ではないかと考えていた。
しかし、その思想はあっさり、もろくも崩れ去る。筑波で出した1分9秒は全然限界だとは 思わなかった。Freelanceはもう少しやれるだろう。しかし、SUGOで1分50秒に入ってからは、 もうその挙動の危うさに絶えられなくなってしまったのだ。 はたして、ノーマルでこのタイムは、本当に限界なのだろうか? (ただ、これもFrホイールの歪みのせいかもしれないんだよねぇ...(^^;;)

過去のレースの実績といっても、そもそもNS400には発売当時にレースに出た例が極端に少なく (TT-F1として8耐に出た例はある)、近年、筑波のTast of Freelanceに出てるマシンのタイム (1分6〜7秒)は、かなり改造が施されてて、NSのポテンシャルとしてはあまり参考にならない。 とうことは、よっぽどライダーがうまく乗りこなさない限り、現時点のマシンのポテンシャルでは 筑波の9秒、SUGOの50秒というのは、限界として妥当なところなのかもしれない。
しかし、NSの面影が残らないような改造、そこまでしてタイムを出そうとは思わない。 だったら他のバイクでレースすればいいのだ。 したがって、筑波で1分7秒、SUGOで1分47秒ぐらいを目標に、安心して攻めれる足回り。 これを、基本的に純正品流用でやるということにしたのだった。


何の足を入れるか、どこまで残すか?〜流用のこだわり〜

Frフォーク

Frフォークのインナーチューブがφ37。よってこれをφ39ぐらいにはしたい。 これ以上のフォーク剛性アップは、ヘッドパイプ周りが弱いNSのフレームには酷だろう。 当然、倒立フォークなんぞは論外。外観重視なら倒立+リア片持ちなんてのやりたいところだが そこは我慢(?)して、ノーマルの外観を保ちたい。
ところが、φ39でいいのが見つからなかった。換えるなら、イニシャル、減衰調整まで できるものが良いのは間違い無い。したがって、対象はNSR250R・SPorSEと決めた。 インナーパイプ径はφ41。ぎりぎり許容範囲ではなかろうか?

ホイール、Frアクスル

ホイールはどうする?NSRならマグホイールが履ける。でも、それはやりたくない。 そこはやはり、NSコムスターへのこだわりというか。
ホイールを変えないなら、NSRのフォークとNSのホイールではアクスルシャフト径が異なる (それぞれφ20とφ15)ためこれをどちらかにあわせなければならない。 フォークのボトムケースをいじるよりは楽だろうということで、ホイールベアリングの径をUP (どうせ新品に交換するしね)、ホイールサイドカラー、ディスタンスカラーを新作し、 アクスルはNSR(φ20)とすることにした。ここでも剛性UPが期待できる。

ブレーキディスク

NSのホイールにノーマルのディスクのままでは、NSRフォークのボトムケースについたNSRの キャリパーとかみ合うわけがない。ブレーキディスクはNSがノーマル外径φ256、NSRが φ276。径が違うだけではなく、2枚のディスクの間隔も異なっている。よって、キャリパーに 何を使うにしても、キャリパーサポートの新作は必須である。
キャリパーサポートが新作なら、ブレーキディスク、キャリパー共にいろいろ選ぶことができる。 とはいえ、キャリパーは良い値段してしまうので、マスターシリンダーとのバランスが良い具合の 今のノーマルNSキャリパーから変える必要は現段階では無いと思う。 (そのうちブレンボレーシングとかになるのは見えているが)
それより、φ256でいささか貧弱と考えられるディスクをφ276か296へUP、あわよくば フローティング化、なんてことが考えられる。とはいえ、NSの取りつけPDφ166なんて ブレーキディスクは、今となってはアメリカンのバイクぐらいにしか使われてない。 使えそうなのは初代CBR600Fのφ276か、CB750(免許試験場によくあるやつだ) のφ296。どちらもフローティングではない。
と、悩んでたところに、オーナーズクラブの会長より朗報。NS400の予備のホイールに フローティングディスクが付いてるよ、とのこと。見るとVFR400(NC24)のディスク。 なんと、取りつけPDφ166のフローティングという、結構無理のある(笑)ディスクだ。 中古だけどかまわないだろう。しばらくはこれで行くことに。よって、NSRのボトムにNSの キャリパーを取りつけ、オフセット0、φ276に対応したキャリパーサポートを新作した。

ブレーキキャリパーサポート

ところで、NSは片押し2ポットのスライドピンタイプ、NSRは両押し4ポットのキャリパー である。なのでNSにはノーマルの状態でスライドを保持するキャリパーブラケットがついている。 このブラケットをどうするかが悩みどころである。というのも、まずブラケットがあると、 ボトムケース、キャリパーサポート、ブラケット、キャリパーという部品締結になるので、 締結個所が3ヶ所。それだけ誤差(ガタ)が積み重なる。また、NSには左のフォークにTRAC という機構(アンチノーズダイブ)がついており、右と左でブラケット形状が大きく異なるため、 やるならブラケットごと新作してしまうのが良い方法だ。しかし、ブラケットにはスライドピンを 保持する深い穴があり、これを精度良く作るはそれなりに難しい。できたらただの板の加工ですむ キャリパーサポートにしたいところ。 そこで、R側のブラケットとほぼ対称な形をしたL側のブラケットを見つけてくることができた (GB250クラブマン用)ので、今回はこのブラケットを利用することを前提とした キャリパーサポートを作るということに落ち着いた。


トップ&ボトムブリッジの選択〜フォークスパンとオフセット〜

一口にNSRのSEorSPといっても年式によって形状も異なっている。 フォークが手に入ってない状態で検討を始めたので、ここでは複数の案別を紹介する。

以下はとりあえずつかえそうな機種のデータをかき集めたもの。
ボトムブリッジ
機種ステム長 フォーク径フォークスパンフォークオフセット
NS400R2043718240
VFR80022441 20440
VTR25022441192 35
NSR25023241192 35
NT6502444119240

おそらく、操安に効いてくるであろう、フォークオフセットがNSと共通なのはVFR800か NT650(ドゥービル)である。が、VFRはフォークスパンが若干広く、アクスルシャフトが 使えない。ドゥービルはステム長が長すぎる。ステム長さは、フレームのヘッドパイプに ベアリングを圧入する要領で延長のカラーを圧入しようとしてたので、あまり長いのは考え物だ。
オフセットが小さくなるが、VTR250かNSRのかなぁ?とこれも悩んでいたところに、前出の ディスクの話と同じに、フォークが手に入る話になった。話によるとNSR250のボトムブリッジ の、ステム長を圧入しなおすことによってNS用の長さに調整済なんだとか。うーむ、この検討は なんだったのだろう。
結局NSRのトップ/ボトムブリッジ改をポン付けということになった。

その後の調査で、NSRのボトムブリッジステム長さには、以下の違いが認められた。 今回はすでに改造済みだったので考慮しなかったが、なにかの参考になるかもしれないので 書きとめておく。
NSR250ボトムブリッジステム長さ
年式ステム長フォーク径
8621439
8822441
8923441
9023241
9423241
ステム長さが細かく変わっている。フォーク長さも変わっているはずである。(後述)


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原文作成:06-Sep-'02 HTML版作成:06-Sep-'02